縄跳び技「前とび(まえとび)」を成功させるためのステップ。練習手順や指導法を紹介します!
こんにちは。
なわとびパフォーマーのふっくんこと、藤沢祥太朗です。
前とび(まえとび)は、なわとびの初歩の技っていうイメージですね。
ただ、最初に取り組む技だからこそ教えるのはどんな技よりも難しいです。
今回はなわとび代表技「前とび(まえとび)」の練習手順や指導法を紹介します!
私自身が、なわとび教室での定期指導・幼稚園での定期指導・小学校への出張指導など、色々なところでなわとびを教えてきました。
これまでの経験を踏まえてお伝えしていきたいと思います。
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Contents
前とび(まえとび)とは?
前とびは、前回しに縄を回して跳び越す技です。
誰もが知っている技ですね。
前とび成功までの練習方法
ステップ① 縄遊びで縄に親しむ
まずは縄遊びからやっていきましょう。
・縄を床に置いて一本橋のようにして渡る
・高跳びのように縄をとび越える
・長縄とび
・綱引き(切れない縄の場合)
等
何でも大丈夫です。
この段階では、縄に親しむこと、縄への抵抗をなくすこと、が大事です。
前とびは誰もができない所から始まります。
「できないから楽しくない」という気持ちが起きる前に「なわとび(縄遊び)は楽しいもの」という気持ちを先にもたせておくことが何よりも大事です。
少しずつ縄に触れていきましょう。
ステップ② ジャンプの練習をする
前とびに挑戦する段階では、そもそも運動経験が少ない可能性があります。
色々なジャンプに取り組みましょう。
・その場でジャンプ
・手を叩きながらジャンプ
・手を繋いでジャンプ
・回りながらジャンプ
・縄をおいて飛び越えるジャンプ
・ミニハードル
・その場でグーチョキパーなどのステップ
・体じゃんけん 等
何でも良いので、色々跳びましょう。
手を叩いてのジャンプは特におすすめです。
なわとびと似たリズムでジャンプを経験することができます。
ももを叩くジャンプもおすすめです。
手の位置や動かし方が前とびにさらに近いので、前とびの良い練習になります。
ステップ③ 回しの練習をする
少しずつなわとび運動に近い動きを覚えていきましょう。
回しの練習として、おすすめがいくつかあるので紹介します。
1. 片手回し
片手で縄を持って、回す練習をしましょう。
ほとんどの子が腕から大きく回して後ろ回しを始めると思います。
最初はそれで大丈夫です。
ある程度慣れて「できる」という気持ちをもててから、反対回し(前回し)もやってみようと伝えましょう。
後ろ回しと前回しの違いを覚えるために、腕回しのストレッチなども先にやっておくのも良いかと思います。
2. アームラップ
腕に縄を巻くポーズ「アームラップ」もおすすめです。
前とびの習得のためには、
・前回しで右手に巻く
・前回しで左手に巻く
この2つをできるようにしておきたいです。
こちらも最初は、後ろ回しから始める子が多いです。
最初はそれで良いので「できる」という気持ちをもててから反対回しにも挑戦するように伝えてみましょう。
右手、左手の回しも身につけたいので、両手とも行うようにしましょう。
3. V字止め(足止め)
Vの形で止めるポーズです。
跳ばない段階で両手で縄を操作する運動はあまり多くないので、かなり良い練習になります。
右足・左足・両足など、飽きないように少しずつネタを変えて取り組んでいきましょう。
ペンギン・ロッキングチェアの練習もおすすめです。
前とびにかなり近い動きです。
ステップ④ またぎこし・走りとび
なわとびを前にもってきてはまたいでみましょう。
これを繰り返します。
走りとびもおすすめです。
走りながら行うと、跳ぶというよりはまたぐ動きになるので前とびよりも取り組みやすいです。
「自分が持っている縄より前に行く」というのは実はかなり難しいことです。
縄より前に行こうとジャンプをすると一緒に縄も前に行ってしまって越えられないことがよくあります。
まずはまたぐ所から始めましょう。
なかなか上手くいかない時は、縄をまたぐよりも「縄を踏む」という動きから始めても良いかと思います。
例えば「そばを作ろう!」という声かけで縄を踏んでみても面白いかと思います。
またぐ時は私の経験的に「ばんざーい、おじゃまします」という言葉が特に伝わりやすかったです。
説明してもなかなか伝わらなかった子が「おじゃまします」で伝わることが多く、子どもがイメージしやすい言葉なのかと感じています。
ステップ⑤ 前とびに挑戦
ジャンプや回し等の前とびに近い動きが経験できてきたら、いよいよ前とびに挑戦してみましょう。
これまでに色々な動きを経験できたと思うので、あとはやる気を継続するだけです。
ある意味で一番難しいところです。
声かけをしたり、場合によっては一旦間を空けたり、上手くいかない時は前段階のステップに戻ったり、あの手この手を使って色々取り組みましょう。
「できないことに取り組む」のは大人でも難しいことですね。
なかなか上手くいかない時も含めてやさしい気持ちで接するようにするのは自分もいつも意識していることです。
前とび1回に挑戦
まずは1回跳ぶことを目指します。
またぎこしを行っていた場合は、またぐタイミングをジャンプに変えます。
「ばんざーい、おじゃまします」という言葉かけをしていた場合は、
「ばんざーい、ジャンプ」に変えてみましょう。
V字止めの練習を行なっていた場合は、「パシ!」と止まるタイミングをジャンプに変えても良いかと思います。
一回旋二跳躍に挑戦
2回ジャンプする前とびです。
連続に取り組むときは、まずはこちらを目指しましょう。
ある程度できるようになってから前とびに挑みましょう。
※こちらを経由させずに、いきなり前とびに取り組ませる方法もあります。
ただ、一回旋二跳躍から始めるのが一般的でおすすめです。
前とびに挑戦
前とびに挑戦しましょう。
一回旋二跳躍から前とびへの接続方法は後ほど紹介します。
手の位置や回し方については最初は触れない
なわとびは、手首で回す・脇を締める・腰の横で回す等とよく言われていますが、
前とび習得の段階では手の位置や回し方は触れないことをおすすめします。
手首で回すのは非常に高度なことです。
縄の操作が上手くできない段階でできる訳がなく、これを伝えてしまうことで前とびの習得が遅くなってしまっていると感じることが非常に多くあります。
最初は「腕を大きく回す」という始め方でも良いかと思います。
縄回しを上手にするにはどうしても反復練習が必要になりますが、その上で「やりたい気持ち」はとても大事です。
難しい動きを求められて「できない気持ち」をもってしまうことが何よりも怖いです。
もちろん、たくさん跳べるようになってからも自然に直っていかない場合はどこかのタイミングで手の位置を直す必要があるかもしれません。
ただ、前とびできない段階では触れないことをおすすめします。
なかなかできない場合は?
前とびのコツや失敗例を紹介するのでご参照ください。
なかなかできない場合は、ステップ①〜④に戻って焦らず取り組んでいきましょう。
前とびのコツ・ポイント
リモコン持ち
親指を立てて持ちます。
リモコンのボタンを押すように持つので、リモコン持ちとも呼ばれています。
縄の長さ
縄の長さは、片足で踏んだ時に「縄の端がおへそから胸くらい」がおすすめです。
前とびの段階では、多少長めでも良いかと思いますが、長すぎると回す距離が長くなるので操作が難しいです。
極端に長くないか・短くないか確認してみましょう。
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よくある失敗と対策
縄を回す感覚やジャンプの感覚が身についていない
縄を自分で回して跳ぶ、という動きは前とびで初めて経験する子がほとんどかと思います。
ある程度回す感覚やジャンプの感覚が身についていないと難しいので、なかなかできない時はステップ①〜④に戻って取り組みましょう。
手首が内側を向く
手首が内側に向いて2回目以降につなげられない子が多くいます。
手首が内側に向いてしまうと、体の構造的に腕を回転させることができません。
ぜひ皆さん、手首を内側に向けて腕回しができるかやってみてください。
手の位置や回し方には触れないと、先ほど書きましたが、
内側に向いてしまう子には回し方を直す声かけ・アプローチが必要になると思っています。
リモコン持ちで、親指を両手とも壁方法に向けます。
このまま上下にふる練習をしてみましょう。
足元への意識が強すぎることが、手首が内側になる原因かと思っています。
ビーズロープを使うと、足下を自然に通過するので、なかなかできない時は縄を変えるのも1つの手かと思います。
縄が長い
縄が長いと難しいです。
特に、通常リズムの前とびをやる時には、縄が適度に短いことは大事です。
「おへそから胸」の間にあるか改めて確認してみましょう。
縄を前に出す段階につまづきがある
見逃しがちですが、縄を後ろから前に出す段階につまづきがあることもあります。
慣れていないと、真上くらいの感じで縄が上がります。
そうすると真下に落ちてくるので跳ぶのが難しいです。
上手な子は、縄は「○」のように回りますが、真上に上がってしまうと「0」みたいな回り方になります。
できない訳ではないので無理して直そうとはせずそのまま前とびの練習を続けても良いかと思います。
大きく課題がありそうな時は、V字止めの練習に戻って取り組んでいきましょう。
一回旋二跳躍から前とびへの接続
一回旋二跳躍が、何度も跳べるようでしたら前とびに挑戦する技能としては十分です。
通常リズムの前とびに挑戦してみましょう。
まずは連続2回に挑戦しましょう。
いきなりたくさん跳ぼうとすると動きに集中するのが難しいので、2回に絞って取り組むのがおすすめです。
「せーの、ジャンプ、ジャンプ」と通常の前とびのリズムで声をかけます。
最初はリズムに間に合わないことがほとんどなので、「もう少し速く」「声に合わせて」などと声かけをします。
お手本を見せる時は「せーの、ジャンプ、ジャンプ」と言いながら、大きくジャンプしながら見本を見せます。
大きく見せるというのがポイントです。
一回旋二跳躍が何度もできるようであれば、きっかけを掴めば前とびはできるかと思います。
焦らず取り組んでいきましょう。
また、縄が長いと回すのに時間がかかるので、通常の前とびは難しいです。
試しに短くしてみる手もあります。
前とびは難しい動きと言われる理由
ジャンプをする時に手をどうやって使うか考えてみましょう。
普通は、手を上に上げる勢いを使ってジャンプをしますね。
しかし、前とびはこれとは逆で、手を下げるタイミングでジャンプをしなければなりません。
これが前とびが難しい動きと言われる理由です。
不自然な動きなため、たくさんの運動経験を積むことが一段と大事な技かと思っています。
前とびにおすすめの文献
フープとびなわでなわとびは誰でも跳ばせられる
特別支援向けの本ですが、前とび指導のアプローチについて書かれています。
一部を切ったフラフープを使う、というのはアプローチの一つになるかと思います。
“二重跳び連続3回”新ドリル
前とびというより二重とびの本ですが。
二重とびの練習で「塩ビ管を上下に振る」という練習方法が出てきます。
逆手で上下に振るという動きは同じなので、前とびの練習方法の一つとして使えるのではないかと考えています。
特に手首が内側に向いてしまう子の突破口になるかもしれません。
前とびにも関連するところも多いので、おすすめの文献として紹介します。
前とびにおすすめのロープ
おすすめの1つはスタートビナワです。
・適度な重みがあってなわとびを回している感覚を掴みやすい
・前とびはもちろん、学校で行うような技全般におすすめ
こんな特徴があります。
特になわとび初期の段階はおすすめなので、ご参照ください。
https://nawatobiride.stores.jp/
また、前とびだけで考えると、ビーズロープもおすすめです。
・適度な重みがあって縄を感じやすい
・地面につく時に「カチ」「カチ」と音が鳴ってリズムが取りやすい
こんな特徴があります。
幼稚園・保育園でよく使われている綿のロープは運動遊びの段階では良いのですが、「回して跳ぶ」という動きになると難しいのでおすすめしません。
なかなかできない時は、縄を変えることもご検討ください。
前とびの発展技・関連技
前とびができるようになったら取り組みたい技をいくつか紹介します。
グーパーとび
前とびの次の段階としては、ステップ技がおすすめです。
グーパーとびは両足ジャンプの技なので、取り組みやすいかと思います。
けんけんとび
けんけんで前とびをします。
片足ジャンプで難しくはなりますが、前とびと同じ回し方なので、前とびの技術がそのまま活かせます。
かけ足とび
かけ足とびも前とびの発展技です。
どちらかというと、けんけんとびの方が取り組みやすいかと思います。
二重とび
二重とびは有名な技ですね。
前とびが上達して、前とびが速く安定して跳べるようになったら挑戦してみましょう。
最後に
前とびは、最初にやる技だからこそ、教えるのが本当に難しい技だと感じています。
ただ、この段階が越えられると取り組める技が一気に増えるので、なわとび運動がより充実したものになります。
間違いないく個人差はあるので、指導者としてはゆったりした気持ちで接してあげられると良いと思います。
焦らずに取り組んでいきましょう。
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